夕凪
隼斗くんの話はこうだった。
父親は業界では少し有名な会社の社長。
母親も一緒に働いている。
昔から仕事ばかりの2人は家に帰ってくることはほとんどなく、隼斗くんと悠斗くんはお手伝いさんに育てられたも同然。
親が社長である以上、隼斗くんは会社を継がなければいけない。
だから昔から躾も厳しく、勉強も校内トップの成績をキープしていた。
悠斗くんは次男。
両親からすると、特に必要のない存在だったらしい。
それでも彼は両親の気を引こうと必死だった。
だけど、それは空回る一方で
彼は家ではいつも1人だった。