夕凪

隼斗くんの話はこうだった。



父親は業界では少し有名な会社の社長。

母親も一緒に働いている。

昔から仕事ばかりの2人は家に帰ってくることはほとんどなく、隼斗くんと悠斗くんはお手伝いさんに育てられたも同然。

親が社長である以上、隼斗くんは会社を継がなければいけない。

だから昔から躾も厳しく、勉強も校内トップの成績をキープしていた。

悠斗くんは次男。

両親からすると、特に必要のない存在だったらしい。

それでも彼は両親の気を引こうと必死だった。

だけど、それは空回る一方で
彼は家ではいつも1人だった。
< 90 / 148 >

この作品をシェア

pagetop