夕凪


「さすがにね、それ聞いたときはもう修復不可能だと思った。悠斗も荒れててさ。1人で暮らしてからは連絡もなかったんだけど、1ヶ月くらい前から急に連絡がくるようになってね。」

隼斗くんは空に向けていた視線を私に移すと笑顔になった。


「"好きな子ができた。大事にしたい。"って言って嬉しそうな声出すんだ。俺も嬉しかったよ。悠斗がやっと愛されるんだって思ったら。」






きっと、彼は家族の誰も責めていなかった。

自分がいけないんだと言い聞かせていた。

だから隼斗くんといるとあんなに嬉しそうな顔をするのに、隼斗くんはそれを自分のせいだと話した。

2人はこんなにも想い合っているのに。
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