ごめんしか言えなくて、ごめん。
彼女
「理人さ、モテるのに彼女作ろうとは思はないの?」
帰り道を歩きながら、何の気なしに聞いた。
別にこれと言って理由はなく、
ただ、何となく自然に声がこぼれていた。
「え?……あの、さ」
途中で言葉を区切り、その場に足を止めた理人が気になり、
私も足を止める。
振り返ると、理人は少し俯いていた。
「なに、どしたの?」
「俺……彼女いるよ」
サァァ――――…。
二人の間を風が通り過ぎた。
それはまるで、
私たちの心にできた溝を強調するかのように、
一瞬にして、私の世界から色を奪っていった。