ごめんしか言えなくて、ごめん。
王子様
「おはよ、ゆい」
「おはよー、今日もはえーな」
私たちの朝は、だいたいこの会話からスタートする。
毎朝決まった時間に待ち合わせているのだが、
たぶん理人はそれよりも5分は前に来てる気がする。
いや、実際に私の部屋から窓の外を覗くと、
きまって私の家の門の横にもたれかかり、空を見上げる理人の姿が見えるため、
少し早くても、私は慌てて家を出るのだ。
幼なじみの私にこんなに優しくするくらいだ。
彼女ができたら、きっとそれはもう大切にするのだろう。
「あ~、優男の神様。
私にやさしー彼氏ができるようにお願いします」
「なんだそれ(笑)
優男の神様って、意味不だわ」
ふざけて言ってみたものの、
私は自分の考えたことで少し寂しくなったのだ。
その“彼女”のことを、羨ましいと思ったのだ。