君はここにいる
「君が梔零次君ね?」
柔らかな表情で笑いかけて来たのは烏乃学園の教師、泉 紗更(いずみさらさ)
教師だが、いまいち緊張感のない表情で首を傾げた
柔らかな茶色の髪が肩口で揺れる
梔零次(くちなしれいじ)はハァと頭をかいた
「まぁ、そうです」
「あら?元気がないのね。どうしたの?これから君の新しいお友達に会うのに」
「お友達………ですか」
零次は高校生だというのに随分幼い物言いで泉は接する
なんとも言えない表情の零次をキョトンと見返している泉はおそらく素で喋っているに違いない
「この時期に転入なんて珍しいけど、クラスの仲間とはきっとすぐに仲良くなれるわ!」
グッと拳を作り力説する先生に零次はヘラリと笑って見せた
「そうだと嬉しいな」