君はここにいる



連れて行かれた教室には机が並べられていたが生徒事態は十名にも満たない
泉と零次が教室に入れば、視線が零次の方に集中する
まるで侵入者が入って来たように、警戒した空気が流れる

ニコニコと零次の名前を黒板に書く泉は笑顔で振り返った


「はーい!みんな、新しいお友達を紹介するわね。梔零次君です。珍しい名字よね、あたし最初は読めなかったのよ」


空気を変えたのか、天然なのか、間の抜けた言葉に脱力したようなクラスメイトたちは警戒心を薄めたようにみえる


泉に促されて零次は軽く挨拶した


「梔零次です。よろしくお願いします」


気負わずに言えた
やはり視線が集められると緊張する


教室にある机は人数に比例していない
余分に置かれた机のせいで余計に人の少なさが目立っていた


視線を巡らせているとニヤリと笑う少年と目があう
黒髪に黒い瞳の下に星の形をしたアザのようなものがある
頬杖をついて読めない笑みを浮かべる少年は不意に指を鳴らした


「うお!」


小さな黒い影が物凄いスピードで零次に向かって来た
反射的に零次がはたき落とす
反射神経は良い方なんです


黒い影の正体は分からなかった
零次がそれに触れた瞬間にジュッと音をたてて消え失せたからだ


「ツゥ………何だ?今の」


少し熱かった
転入生にいきなりの洗礼ですか?







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