君はここにいる



布が意思を持って蠢いている
泉先生が操っているのか、先生の周りをゆらゆらと取り巻いているが突っ込むに突っ込めない



「私も知らなかったの、梔君がこの学校のコトを聞かされてなかったなんて」


溜め息をついて泉紗更はかいつまんで烏乃学園のコトを説明した


「烏乃学園は確かに天才を集めた学園だと言えるわ。けれど、それは普通の天才と言う意味じゃないの。普通の人間が使うことの出来ない特殊な能力を持つ子供を集めた学園、それが烏乃学園なの」


ハァ………と曖昧な返事しか零次はできない
一番の疑問はなぜそんな場所に自分がいるのか、ということだ


「お前の能力は『無効化』だな」


突然割って入った声に振り向けば、白衣を着た男性が立っていた


「泉ちゃん、なにしてんの?廊下で」

「灰原先生!ちゃっ、ちゃん付けはやめてください!梔君が烏乃学園のコトを知らずに転入したっていうので事情を…」


灰原(はいばら)という男性教員はクツクツと可笑しげに眼鏡の奥で笑った


「おかしいなぁ、その件については職員会議で資料が渡されたはずだけど?」


意地悪な物言いがいたについた大人だと零次は思った
泉先生はえっ!と驚き、手に持っていた資料を改めようとして手を滑らせる
お決まりのように資料が散らばったのを零次は拾う




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