ケチャップのないオムライス【短編】
あの日からおよそ1ヶ月。
私たちは新しい部屋を見つけて今日この部屋を引き払う。
働きもせず毎日を家で過ごしていた私は、
昔取った調剤事務管理士の資格を利用して
この秋から薬局に勤めることになった。
新居は、勤め先から歩きで30分ほどの新築アパートだ。
そこで私は新生活をスタートさせる。
「ごめんな、それからありがとう」
そう言った貴史は良い顔をしていた。
数分前までは隣に居た彼の影はきっとすぐに思い出になるだろう。
私は、まだ27歳だ。やり直す時間はちゃんとある。