ケチャップのないオムライス【短編】
次の日、お洒落さの欠片もない居酒屋に啓太と私はいた。
あからさまに気を落としていた私は、会ってすぐに昨日のことを啓太に話した。
好きな人がいたこと、
その人といい感じになったこと、
でもその人には片想いの相手がいたこと、
なのに幸せそうだったこと…
「私が分かりやすく誘ってるのに、どうして?
叶わない相手なのにどうして幸せなの」
「そりゃあ好きだからだよ」
へラッと当たり前だというように答える啓太。
あまりにも軽くかわされた気がする。
「怒るなよ。俺には分かるんだよ」
「どうして?」
「菜緒が好きだから」
いつになく真剣な眼差しで言うから、思わず頷きそうになってしまう。