Loneliness
リティリーは否定しても無駄だと
感じたのか、何も言わない。
「殺せっ!!」
団長の命令に、他の騎士は一斉に
リティリーに飛び掛かった。
埃塗れの屋根裏で、
俺は浅く息を吸いながら、
リティリーの戦いを見守る。
幾らスパイとは言え、
30人程の騎士と戦えば、
勝機は先ず無い。
リティリーが死ぬのは時間の問題だった。
俺の選択肢は2つ。
此処で息を潜めて
リティリーを見殺しにし、
王立騎士団が去るのを待つか。
不意打ちで飛び出し命を懸けて戦うか。
いや、選択肢等 無い。
助かる為には、
リティリーを見殺しに するしか無い。
血に塗れた顔で、
リティリーが上を見上げる。
木の板を挟んでいるのだから、
此方の姿等 見える筈が無いのに。
目が合った、気がした。
その灰色の瞳を直視した瞬間。
何とも言えない奇妙な感覚が、
生まれた。