Loneliness



口の端から血が流れる。
意識が朦朧と し始めた時、
昔 聞いた言葉が蘇って来た。



――なぁ、知ってっかよ?
   あいつ、
   蒼のテューロって言うんだぜ。


――何で「蒼の」なんだ?


――髪の毛 蒼いだろ?
   あいつが戦うと速過ぎて
   蒼い光にしか見えないらしいぜ。


――へぇ、まだ若いのに、
   恐ろしい奴なんだな。



何故、そんな記憶が蘇ったのか、
解らない。



左腕に剣を刺され、
痛みに顔を歪める。



……殺される。



恐怖なんか、感じなかった。
どちらかと言えば、
安心感に近いものを感じた。



死ねる。



これで もう、楽に なれる。



次いで脳裏に蘇ったのは、
レンドの笑顔。



……悪いな。



謝る事しか出来なくて。



そして俺は、意識を手放した。

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