Loneliness
【Talk:刹那】
「……刹那。」
名前を呼ばれて、あたしは目を開けた。
寝てた訳じゃない。
寝ている振りを していただけ。
眠ってしまえば、
どんなに楽だろうと思う。
けれど、眠れる訳がない。
この、行為の途中で。
あたしが顔を埋めていた胸の
持ち主である男は、
この最果ての刑務所の囚人。
行為の中で、彼が連続殺人に使った
汚い手を聞いたばかりだ。
牢屋の外から
あたしに声を掛けたのは父さん。
手招きする彼に頷いて、
寝ている男の上から起き上がった。
辺りに散らばっていた
下着や服を身に着けて、
そっと牢屋から出る。
胸に広がる いつもの感覚から
目を背けて、
あたしは父さんの背中を追い掛けた。
「吐いたか?」
「うん。」
父さんが訊いているのは、
あの男が自分の手口を
白状したかと言う事。
あたしが頷くと、
父さんは言葉を続けた。