Loneliness



【Talk:刹那】



「……あーっもうっ、何なのよっ!!」


「何が?」



不意に思い出した昨日の出来事に
思わず叫んだ時、
部屋のドアの方から
聞き慣れた声が聞こえた。



其方を見ると、
幼馴染みである2人――日里と瞬が
立っていた。



「……ノックくらいしてよね。」


「ノックしても反応 無いから
勝手に開けたんでしょ。」



日里は悪気も無く
あたしの部屋に入って来ると、
断りも せずに
ベッドの脇に在る椅子に腰掛けた。



そんな日里に苦笑しつつ、
瞬は「失礼します」と
生真面目に呟いて、
部屋に一歩 足を入れた。



従妹である日里と、
幼馴染みである瞬。



小さい時から、
あたし達3人は一緒だった。



最果ての刑務所の所長の
娘である あたしは、
1度も外に出た事が無いから、
逆に言うと
刑務所に出入り出来る2人しか、
あたしの友達は居ないんだけど。



溜め息を1つ ついて
髪を縛り始めた あたしを見ながら、
日里は あどけない笑みを浮かべた。

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