ホテル
ウチは、思い切り泣いた。
壁にもたれて、地面にしゃがみ込んで、膝を抱えて泣いた。
この涙は…家には持って帰られへん……。
ばあちゃんには言われへん……。
この痛みは自分だけのもの。
ばあちゃん……今頃、何してるんやろ?
ウチな、ウチ…何か、言葉では上手く言えんけど……凄く悪いことしたような気がしてきて………。
心の中で、手を合わせた、ばあちゃん、ごめん…………って。
自転車の鍵を開け………サドルに股がった。
大事な部分に、まだ何か入ってるみたいや………。
この違和感……直樹先輩がくれた、苦い恋のおみやげ。
ペダル漕ぎながらも………涙は止まることを知らず………。
今日の涙は……今まで流した中で……一番塩辛かった。
哀しみか深いほど……涙の塩分は濃くなるのかな………。