蒼の光 × 紫の翼【完】
「う……っくしゅっ!!」
また盛大なくしゃみでわたしは頭が覚醒した。
「はっ……くしゅっ!っくしゅ!」
誰だよ噂してるの……とかなんとか思ってみる。わたしは寒いあまり、毛布を掻き抱いて体育座りをした。
……ん?毛布?
瞼がなかなか開かない。手で擦ってなんとか開けてみる。
そこには、緑色の点が2つ……って、え?ひ、人の顔?
「ひゃあ!」
わたしはなんとも間抜けな声を上げて、毛布を頭から被った。
だ、誰?今の人!
「あ、すみません、驚かせてしまいましたね。毛布を退かせてはくれませんか?唇の色を確認したいので」
「え?」
お、男の人?でも話し方からして、優しそうな人だな。
わたしは毛布を目の下まで下げた。
「ふふふ、それでは唇が見えませんよ」
男の人は笑いながら言った。瞳はやはり緑色。髪の色は金。
「そ、そうですね、すみません……」
綺麗な人だな、と思いながらも、なんでこんな外国人みたいな人と話が通じてるんだろう、と疑問が沸いてきた。
わたしは毛布を首ぐらいまで下げた。
「うん、もう大丈夫そうですね。もう少し火の方に近寄ってください。その方が暖かいですから」
男の人は立ち上がって、焚き火の前に座った。どうやらここは小屋の中のようだ。わたしもそれに習って、男の人とは少し離れて座った
「失礼ですけど、質問をしてもいいですか?」
男の人はにこりと笑いながら話しかけた。
「ど、どうぞ」
まだ口の動きはぎこちない。
「あなたの名前は?」
「……か、夏音です」
「では、カノンさん。あなたはどこからここにやって来たのですか?」
「日本から、です」
「ニホン?聞いたことがありませんね。どのあたりにあるのですか?」
「え?え、えと、アジアにあります」
「アジア?どこにあるのですか?あなたは一体何者なんだ?ここで何をしていた?」
だんだん男の人の声色が変わってきた。
こ、怖い……。
顔は笑っているのに、オーラがすごい。わたしは泣きたくなってきた。
「答えによってはここで斬らなければならなくなる。正直に吐け、ここで何をしていた?」
男の人は後ろにあった長い剣を手にとり、立ってわたしの首に切っ先を向けた。
「え……」
わたしは呆然としてしまった。いきなりすぎて、涙が込み上げてきていたけど逆に引っ込んでしまった。
「さあ、吐け」
緑の瞳は逃がすまいとわたしを射抜いている。
わたしはその瞳をまっすぐと見つめた。わたしにはどうしてもこの人が悪い人には見えなかったのだ。
暫く沈黙は続いたが、小屋の外から馬の声が聞こえてきて、ひとりの男の人が入ってきた。
「……なにをしているんだ、アルバート」
入ってきた男の人はそう言うと、ため息を吐いた。銀色の髪をしている。
「こいつに何者なのかを問い詰めていたところだよ」
「そんなことをして、なにか意味があるのか?」
「これが僕の仕事だからね」
「仕事、な……。ではこれは命令だ、今すぐ止めろ。目障りだ」
アルバート、と呼ばれた男の人は、もう一人の男の人の青い瞳をじっと見たけど、観念したのか剣を鞘におさめて元の位置に置いた。
「はいはい、それなりに理由があるんだよね?これじゃ納得できないよ僕は」
アルバートさんはどかっと座って胡座をかいた。さっきまでのオーラは消えている。
「まずは、腹ごしらえだ」
と言って、青い瞳の男の人はいったん外に出ると何やら大きな物体を担いで来た。
「お、大物じゃないか」
「だろ?うまいぞ絶対」
わたしは叫びたくなるのを必死でこらえた。
なぜなら、その担がれている物体は大きな鹿で、わたしの目と鹿の目がばっちり合ってしまったからだ。
「どうやって食べるか」
「いや、焼くしかないと思うけど選択肢」
「なら、さばくか。手伝え」
男二人はさっさと外に出て行ってしまった。鹿は小屋には入れないほどの大きさなのだ。
できたぞ、と言われるまで、わたしが毛布を頭まで被っていたのは言うまでもない。
また盛大なくしゃみでわたしは頭が覚醒した。
「はっ……くしゅっ!っくしゅ!」
誰だよ噂してるの……とかなんとか思ってみる。わたしは寒いあまり、毛布を掻き抱いて体育座りをした。
……ん?毛布?
瞼がなかなか開かない。手で擦ってなんとか開けてみる。
そこには、緑色の点が2つ……って、え?ひ、人の顔?
「ひゃあ!」
わたしはなんとも間抜けな声を上げて、毛布を頭から被った。
だ、誰?今の人!
「あ、すみません、驚かせてしまいましたね。毛布を退かせてはくれませんか?唇の色を確認したいので」
「え?」
お、男の人?でも話し方からして、優しそうな人だな。
わたしは毛布を目の下まで下げた。
「ふふふ、それでは唇が見えませんよ」
男の人は笑いながら言った。瞳はやはり緑色。髪の色は金。
「そ、そうですね、すみません……」
綺麗な人だな、と思いながらも、なんでこんな外国人みたいな人と話が通じてるんだろう、と疑問が沸いてきた。
わたしは毛布を首ぐらいまで下げた。
「うん、もう大丈夫そうですね。もう少し火の方に近寄ってください。その方が暖かいですから」
男の人は立ち上がって、焚き火の前に座った。どうやらここは小屋の中のようだ。わたしもそれに習って、男の人とは少し離れて座った
「失礼ですけど、質問をしてもいいですか?」
男の人はにこりと笑いながら話しかけた。
「ど、どうぞ」
まだ口の動きはぎこちない。
「あなたの名前は?」
「……か、夏音です」
「では、カノンさん。あなたはどこからここにやって来たのですか?」
「日本から、です」
「ニホン?聞いたことがありませんね。どのあたりにあるのですか?」
「え?え、えと、アジアにあります」
「アジア?どこにあるのですか?あなたは一体何者なんだ?ここで何をしていた?」
だんだん男の人の声色が変わってきた。
こ、怖い……。
顔は笑っているのに、オーラがすごい。わたしは泣きたくなってきた。
「答えによってはここで斬らなければならなくなる。正直に吐け、ここで何をしていた?」
男の人は後ろにあった長い剣を手にとり、立ってわたしの首に切っ先を向けた。
「え……」
わたしは呆然としてしまった。いきなりすぎて、涙が込み上げてきていたけど逆に引っ込んでしまった。
「さあ、吐け」
緑の瞳は逃がすまいとわたしを射抜いている。
わたしはその瞳をまっすぐと見つめた。わたしにはどうしてもこの人が悪い人には見えなかったのだ。
暫く沈黙は続いたが、小屋の外から馬の声が聞こえてきて、ひとりの男の人が入ってきた。
「……なにをしているんだ、アルバート」
入ってきた男の人はそう言うと、ため息を吐いた。銀色の髪をしている。
「こいつに何者なのかを問い詰めていたところだよ」
「そんなことをして、なにか意味があるのか?」
「これが僕の仕事だからね」
「仕事、な……。ではこれは命令だ、今すぐ止めろ。目障りだ」
アルバート、と呼ばれた男の人は、もう一人の男の人の青い瞳をじっと見たけど、観念したのか剣を鞘におさめて元の位置に置いた。
「はいはい、それなりに理由があるんだよね?これじゃ納得できないよ僕は」
アルバートさんはどかっと座って胡座をかいた。さっきまでのオーラは消えている。
「まずは、腹ごしらえだ」
と言って、青い瞳の男の人はいったん外に出ると何やら大きな物体を担いで来た。
「お、大物じゃないか」
「だろ?うまいぞ絶対」
わたしは叫びたくなるのを必死でこらえた。
なぜなら、その担がれている物体は大きな鹿で、わたしの目と鹿の目がばっちり合ってしまったからだ。
「どうやって食べるか」
「いや、焼くしかないと思うけど選択肢」
「なら、さばくか。手伝え」
男二人はさっさと外に出て行ってしまった。鹿は小屋には入れないほどの大きさなのだ。
できたぞ、と言われるまで、わたしが毛布を頭まで被っていたのは言うまでもない。