蒼の光 × 紫の翼【完】
余興
「あ、見てください!」
わたしは皆さんがうつらうつらとうたた寝を始めても、ずっと青いドアを凝視していた。
わたしの言葉でうっすらと目を開けドアを見た他の三人。
わたしがなぜ声を発したのかというと、ドアがいきなり真っ黒に染まったからだ。
……黒。不吉な色だ。
「……なんだ?真っ黒になってしまったな」
「はい。突然、下の方から徐々に……」
「でも、なんで?」
「まさか、決着がついたのか?」
「やめてよケヴィ!それじゃカイルが死んだことになっちゃうじゃん!」
「それは、そうだが……」
ごにょごにょと語尾を濁すケヴィさん。しかし、それしかこの異変の原因が考えられない。
……本当に、死んでしまったの……?カイルさん……
わたしの視界が滲んでくる。思わず俯くと、ポタッと雫が一粒落ちた。
「あー!ケヴィがカノン泣かせたー!」
「いや、そんなつもりじゃ……」
また語尾を濁すケヴィさん。
……もう、イヤ。何が起こってるのかもわからないし。それになんだか頭もボーッとしてきた。
「おい、大丈夫か?顔色が悪いぞ」
「は、い……」
ラセスさんが心配そうにわたしの顔を覗いている。
「疲れて……いるのかもしれません」
「そうかもしれないな。おまえだけだぞ寝ていないのは」
「……気づいてたんですか」
「当たり前だ。さっさと寝ろ。俺たちが引き続き扉の監視をしているから」
「……は、い……」
急に身体が暗転して、後ろに倒れたわたし。
その身体を受け止めたラセスさんが何か言っているようだけど、よく聞こえず、口だけが大きく動く。
……たぶん、呼んでるのかな?
そこにケヴィさんとアルさんの驚いた顔も並ぶけれど、もう……目が……閉じちゃう。
わたしは揺すられながら、深い奥底に引き込まれた。