蒼の光 × 紫の翼【完】
「……ごめん、明日でもいい?話の続き」
「はい……仕方ありませんよね」
その後、アルさんがカイルさんを起こそうと試みるも、全く起きる気配がない。
「気になってしょうがないと思うけど我慢してね?カイルったらカノンが寝てから一睡もしてないんだよ?余程心配だったんだろうね……」
「なんだか申し訳ないです……」
「……ということで、今日はもうかいさーん!まだ夕方だけど、ゆっくり休んでね。カノンはもうあの部屋は使えないから、この部屋にいてね、安全だから。絶対に出ちゃダメだからね」
「わかりました」
「ゆっくり自分の名前考えといて?」
そう言い残して、アルさんは部屋を出ていった。
続いてルーニー君──けっきょく終始一言も話さなかったな。リリーちゃん、と出ていった。
わたしは寝ているカイルさんとぽつんと残された。
名前かあ……
どんな名前がいいかな……かっこいい名前?それともかわいい名前?短い方が良いよね?
わたしは無理やり頭の中を名前の候補でいっぱいにした。
明日また聞けるんだから、気にしちゃダメ……
気にするとはもちろん、瞳の色。
黒だったのに、どうして紫なんかに……?それに発見されてないって……
この謎の世界のことを何ひとつ知らないわたし。こんなところに拾われて、ラッキーだったのかもしれない。
もし、変な人のところに拾われていたら……
……やめよ、そんな暗いこと。今は名前だ!
名前……名前……
名前の候補を挙げていたわたしだけれど、疲れてしまったのかいつの間にか眠りについてしまった。
「…………カノン、行くな……」
誰かの寝言は、わたしには聞こえては来なかった────