蒼の光 × 紫の翼【完】
「まずは、わしがいろいろと説明をするでの。質問があればすぐ言うのじゃ」
「はい!」
おじいさんは一息おくと、つらつらと話し始めた。
「まず、おぬしの瞳のことじゃ。紫色をしているであろ?」
「もとは黒かったんです!なぜですか?」
「……それはわしにもわからぬよ。王子たちは、最初から紫だったと申しておうた。もと、のもととは、いつのことじゃ?」
「え、ええっと……」
しまった。そこまで考えていなかった。前の里親の屋敷に住んでいたとき、でいいかな?
「よい、正直に申せ。わしらはすでに、おぬしは異世界からの使者だということは承知しておる」
「は、はい?!どういうことですかそれ?!今まで必死に隠していたんですよ?!」
「少なくとも、王子は最初からわかっておった。アルバート君は後から知ったようじゃがの」
わたしはいっきにへなへなとうなだれた。知っていたなら嘘を言う必要なかったじゃん……
「まあ、おぬしの考えがわからぬわけでもない。異世界から来た、と申したところで、信じてもらえる可能性は低いでの」
「そうですけど……」
でもやっぱり最初から教えてほしかったな……
「あ、で!なんで知っていたんですか?わたしがこの世界の人じゃないって!」
「バカ者!もっと声をおとせ!誰かに聞かれたらどうするのじゃ!」
頭はそう言うと、近くに立て掛けておいた杖をすばやく取り、わたしの頭をコツンと叩いた。
……地味に痛い。
「まったく……場所をわきまえろ。何処の誰がこの話を聞いておるのかわからぬのじゃぞ?今はちょうど、朝の水やりに総出で取り組んでおるが、用心にこしたことはないぞ?」
「す、すみません……」
わたしって、こんなに腰が低かったっけ……
「……この世界の者、ではあるのじゃおぬしは。ただ、異世界で暮らしていたと言うだけであっての」
「言っている意味がわかりません……」
「おぬし、王族のみに伝わっている神話があることは知っておるか?」
「いいえ」
「では、まずそこから話そうかの」
頭はわたしに、その神話を話してくれた。
……王族のみって言ったけど、なんで頭が知っているんだろう?
話の軸を折りたくなかったから、その疑問は呑み込んだ。