蒼の光 × 紫の翼【完】
……なんだかわたし、まだ子供な男の子って見られてるみたい。たしかに、筋肉ないよ?脂肪ばかりだけど……
それに胸もないし。お腹も甘いものばかり食べていたからぶよぶよ。嫌になる……
それによく童顔だねって言われてたし。高校三年生なのに、中学生に間違えられたりしたし。
庭師ってたぶん重労働だよね、ついていけるかな……
わたしがお湯に口を沈めてブクブクと泡を吹いていると、ガチャッとドアが開く音がした。たぶん脱衣場のドアだ。
……え?
わたしはフリーズしてしまった。え、誰?ケヴィさんはもうみんな入ったって言っていたし……それにこの格好と瞳はヤバい!
お風呂に入るから眼鏡は外している。
ヤバいヤバいヤバいヤバい……
とお風呂の隅のほうで小さくなってると、とうとう浴場のドアを開けられてしまった。
顔を背けて目を閉じていると……
「コナー?まだ入っていたのか。長風呂なんだな。俺だったらすぐのぼせちまう」
その声は……
「ケ、ケヴィさん?!」
わたしは思わず声を裏返してしまった。そうか、ケヴィさんはまだ入っていなかったんだった!
「なぜそんなに驚いている?」
じゃなくて!そんなこと思ってる場合じゃない!ケヴィさんはたぶん何も着てないし、わたしも着てない!女だってバレちゃう!
わたしが悶々と考えていると、ケヴィさんが近づいて来た。湯気でよく見えないのが幸いだ。
「どうした?急に黙って。のぼせたのか?」
「だ、大丈夫ですから!どうぞ身体を洗ってください」
「ああ、そうだな」
なんとかケヴィさんは遠ざかってくれたけど、ど、どうしよう……このままじゃ出られない……
早くしないとお風呂に入って来ちゃう!
またしても悶々と考えていると、とうとうケヴィさんの使っていたシャワーの音が止まってしまった。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!
心臓が爆発しそうなくらい速く脈打っている。
「おい、本当に大丈夫か?一言もしゃべらないじゃないか……」
わたしはその声に答えようとしたけど、目の前が回転し始めた。
ほんとにのぼせちゃったみたい……身体が動かない……どうし、よう……
「おい!大丈夫か!聞こえるか!しっかりしろ!おい……」
バジャバシャと水を蹴る音がして、ケヴィさんの身体が露に……叫ぶに叫べない。力が……
ケヴィさんの心配した顔を見たせいか、安心してしまって意識をなくしてしまった。