蒼の光 × 紫の翼【完】
「……ずっとニヤニヤして、気持ち悪いぞ」
「え?そうですか?フフフ……」
わたしたちは今、酒屋にいる。
オーロラ石を買ってからご満悦なわたしは、ずっと頬が緩むのを抑えられないでいた。
みんなへのプレゼントだ!
わたしは石を、城に行っているときにみんなにあげようと思ったのだ。
「……やっぱり赤だな」
「なにがですか?」
「ワインのことだ。俺たちはあまり白は飲まないからいつも赤を持って行っている」
「いつも、ってことは、以前にも城に戻ったことがあるんですね」
「まあな。よし、帰るか」
ケヴィさんはお会計を済ませてから言った。
まだお昼まで時間があるけど、早く戻って仕事を手伝わないと。
「また人が増えて来ましたねー」
「朝市が終わって、今度は観光客や主婦が買いに来ているんだろう。俺とはぐれるなよ?おまえは迷子の常習犯だからな」
「……悪かったですね、方向音痴で」
「手、繋ぐか?」
「はい!」
ケヴィさんからそんなことを言ってくれるとは思っていなかったけど、やっぱり嬉しくて元気よく返事をしてしまった。
「……やっぱりガキだな」
「何か言いましたか?」
「いや……」
わたしたちは人の流れに沿って歩き出す。
……やっぱりみんな背が高い。ルーニー君も年下なのに背が高かったし、ニックさんやリックさん、カイルさんもアルさんもケヴィさんもみんな背が高い。
リリーちゃんはわたしと同じくらいだった。
……年下なのに。
わたしってそんなにチビなのかなー。背は中学2年生で止まってしまった。早すぎるでしょ!
今まで順調に背が伸びすぎてしまったのかもしれない。小5からいっきに中2まで15cmぐらい伸びた。
そして今に至る。
「わたしってやっぱり小さ……い……で……すよね?!」
いない!ケヴィさんがいない!
どうやら途中ではぐれてしまったらしい。いつ手を離したのかもわからない。
「嘘でしょ……」
ふらふらと店先を歩いていると、いきなり路地の方から腕が伸びてきて、腕をひっぱられた。
「きゃふっ……」
思わず叫びそうになったけど、誰かに抱き締められて声が出なかった。
「やあ、久しぶりだね。あれ、でもそんなに日にちは経ってないのか」
……その声は。
「アルさん!」
「元気だった?カノン」