私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
「はあ? 薫姉さんが男? あんた、何言ってんの? 冗談は顔だけにしなよ」
顔って……ムカつく。
でも、予想通りの反応だわね。
「冗談じゃなくて本当よ? 君がどうしてそんな風に思い込んだのかは分からないけど、“彼”はれっきとした男なのよ?」
「バカバカしい。証拠はあるの?」
「へ?」
「薫姉さんは男装が好きだから、それであんたは勝手に男だと思ってるんじゃないの?」
「男装……?」
「そう。あんたこそ勘違いしてるんじゃない? 薫姉さんはすっごく綺麗だし。あんたなんかよりも、ずっと」
うっ、確かに……
「心は女らしいしね。たぶんあんたより」
うっ、そうかもしれない……
薫さんって、実は女だったり?
「話はそれだけ? じゃあ僕は……」
「ちょっと待って!」
立ち上がりかけたアキラ君を、私は慌てて制止した。危うく私まで間違いそうになったけど、薫さんが女のわけない。
だって、仮にそうだとしたら、あのコウジって男も、このアキラ君自身も、女って事になるもの……
顔って……ムカつく。
でも、予想通りの反応だわね。
「冗談じゃなくて本当よ? 君がどうしてそんな風に思い込んだのかは分からないけど、“彼”はれっきとした男なのよ?」
「バカバカしい。証拠はあるの?」
「へ?」
「薫姉さんは男装が好きだから、それであんたは勝手に男だと思ってるんじゃないの?」
「男装……?」
「そう。あんたこそ勘違いしてるんじゃない? 薫姉さんはすっごく綺麗だし。あんたなんかよりも、ずっと」
うっ、確かに……
「心は女らしいしね。たぶんあんたより」
うっ、そうかもしれない……
薫さんって、実は女だったり?
「話はそれだけ? じゃあ僕は……」
「ちょっと待って!」
立ち上がりかけたアキラ君を、私は慌てて制止した。危うく私まで間違いそうになったけど、薫さんが女のわけない。
だって、仮にそうだとしたら、あのコウジって男も、このアキラ君自身も、女って事になるもの……