私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
俺はそこにあったあまり綺麗ではなさそうなソファーに裕美をそっと座らせると、俺もその横に座り、彼女の肩を抱いた。
そして携帯を取り出して119番へ通報した。もちろん救急車を呼ぶためだ。その後110番にも掛けた。警察は何があったのか詳しく言えと言ったが、そう簡単に説明出来るものでもなく、「とにかく事件だから来い」と言って通話を切った。
別に警察なんか来ても来なくてもどちらでもいい。どうせもう終わった事なのだから……
あ、そうか。玉田にはタクシー泥棒という余罪があったんだ。既にさっきの運転手が警察に通報してるだろう。
裕美は静かな寝息を立てている。まさかこのまま、なんて事はないよな?
つまり、目覚めても裕美は裕美ではなく、“兄貴”のまま、なんて事は……
想像してみたが、それはちょっと困る。いや、ちょっとどころではないな。その時は裕美を病院へ連れて行くしかないだろうなあ。
いつの間にか完全に日が落ちたらしく、中は真っ暗になっていた。
俺は立ち上がると、手探りで照明のスイッチを探し、それを入れた。すると切れかけた蛍光灯が点り、薄暗くではあるが中が明るくなった。
そして携帯を取り出して119番へ通報した。もちろん救急車を呼ぶためだ。その後110番にも掛けた。警察は何があったのか詳しく言えと言ったが、そう簡単に説明出来るものでもなく、「とにかく事件だから来い」と言って通話を切った。
別に警察なんか来ても来なくてもどちらでもいい。どうせもう終わった事なのだから……
あ、そうか。玉田にはタクシー泥棒という余罪があったんだ。既にさっきの運転手が警察に通報してるだろう。
裕美は静かな寝息を立てている。まさかこのまま、なんて事はないよな?
つまり、目覚めても裕美は裕美ではなく、“兄貴”のまま、なんて事は……
想像してみたが、それはちょっと困る。いや、ちょっとどころではないな。その時は裕美を病院へ連れて行くしかないだろうなあ。
いつの間にか完全に日が落ちたらしく、中は真っ暗になっていた。
俺は立ち上がると、手探りで照明のスイッチを探し、それを入れた。すると切れかけた蛍光灯が点り、薄暗くではあるが中が明るくなった。