私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
『なんで連絡くれないんだろう、剛史さん……』


あれから一週間以上経ったけど、岩崎さんからは何の連絡もなかった。食事をご馳走するとか言っておきながら。


諦めたら?
所詮あの人はいい加減な人だし、あんたに興味がないって事でしょ?

『あなたにもね?』

あっ、そうか。なんかムカつく……

『それにあなた、玉田さんって人とお近づきになりたいんじゃなかったの?』

ああ、薫さんかあ。そっちはもういい。だってあの人、たぶんオカマだもん。見ためは私好みだったんだけどね……

『やっぱりそうなのかな?』

間違いないと思う。岩崎さんはきっとその事を言いかけたんだと思うのよね。案外あの二人、デキてたりしてね?

『そんなあ……』


というような話を“わたし”としていたら、パソコンにメール着信を告げるポップアップが上がった。何の気なしにそれを開いたら……

『来た!』

送信者は、噂の岩崎さんだった。

< 18 / 137 >

この作品をシェア

pagetop