私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
「ん? 何が簡単なんだ?」
怪訝な顔で私の顔を覗き込む岩崎さんを他所に、私はチョコポッキーをカリッとかじり、水割りを口に含む。うん、やっぱりチョコとウイスキーって合うわ。
「別れればいいだけでしょ?」
わざともったいを付け、敢えて事もなげにサラリと私は言って岩崎さんの反応を窺った。
「はあ?」
あら? 通じなかったのかしら。岩崎さんって、頭のいい人だと思ったのにな。
「玉田さんに、私と付き合うのはやめたって言えばいいでしょ? それで一件落着。はい、お終い!」
どうよ? と、たぶんドヤ顔を岩崎さんに向けたら……
「却下」
『“わたし”も……』
即座に拒否された。しかも“二人”から、同時に。
「えっ? 何でよ?」
「俺は“君達”と付き合うって決めたから」
「な、何を勝手な事を……」
「裕美ちゃんは、どう?」
「はい。“わたし”もお付き合いしたいです。剛史さんと……」
私は抵抗するのを諦め、がっくりと肩を落とした。
怪訝な顔で私の顔を覗き込む岩崎さんを他所に、私はチョコポッキーをカリッとかじり、水割りを口に含む。うん、やっぱりチョコとウイスキーって合うわ。
「別れればいいだけでしょ?」
わざともったいを付け、敢えて事もなげにサラリと私は言って岩崎さんの反応を窺った。
「はあ?」
あら? 通じなかったのかしら。岩崎さんって、頭のいい人だと思ったのにな。
「玉田さんに、私と付き合うのはやめたって言えばいいでしょ? それで一件落着。はい、お終い!」
どうよ? と、たぶんドヤ顔を岩崎さんに向けたら……
「却下」
『“わたし”も……』
即座に拒否された。しかも“二人”から、同時に。
「えっ? 何でよ?」
「俺は“君達”と付き合うって決めたから」
「な、何を勝手な事を……」
「裕美ちゃんは、どう?」
「はい。“わたし”もお付き合いしたいです。剛史さんと……」
私は抵抗するのを諦め、がっくりと肩を落とした。