私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
「聞かせてくれないかな? 玉と同じ顔をした男の事を……。あまり思い出したくはないだろうけど」
剛史は緊張した面持ちで、私の目を見ながらそう言った。
「う、うん」
私は、玉田さんと同じ顔をした男が、よく見かける宅配便の制服姿で家に来て、私は怖くてすぐにドアを閉めた事を剛史に話した。ほんの一瞬の出来事だったから、話すと言ってもそれだけだった。
「そいつは君に何か言わなかったかい?」
「私、すぐにドアを閉めちゃったから、特には何も……。あ、『小早川裕美さんですね?』って言ったかもしれない」
「なるほど。それと、そいつは顔を隠したり、変装してたりはなかったんだよね?」
「ないと思う。もしあれで変装したつもりなら、よほど変装が下手って事になると思うわ」
私の言い方が可笑しかったのか、剛史は一瞬だけどふっと笑った。
「という事は、やっぱりそいつは玉田じゃないな。あいつだったら君の顔を知ってるから、わざわざ確認するわけないし、顔を隠さないという事は、君とは初対面だと思ってるって事だ」
「確かにそうよね? じゃあ、あの人がアキラだったのかしら……」
「それはどうだろう。そいつは子どもっぽかったかい?」
「ううん、そんな事なかった。年相応か、むしろ少し上ぐらいの印象だった」
「なるほど。という事は、アキラではない別の人格って事になるな」
「剛史の“元カノ”をホテルに連れ込んだ人かしら?」
「おそらく……」
剛史は緊張した面持ちで、私の目を見ながらそう言った。
「う、うん」
私は、玉田さんと同じ顔をした男が、よく見かける宅配便の制服姿で家に来て、私は怖くてすぐにドアを閉めた事を剛史に話した。ほんの一瞬の出来事だったから、話すと言ってもそれだけだった。
「そいつは君に何か言わなかったかい?」
「私、すぐにドアを閉めちゃったから、特には何も……。あ、『小早川裕美さんですね?』って言ったかもしれない」
「なるほど。それと、そいつは顔を隠したり、変装してたりはなかったんだよね?」
「ないと思う。もしあれで変装したつもりなら、よほど変装が下手って事になると思うわ」
私の言い方が可笑しかったのか、剛史は一瞬だけどふっと笑った。
「という事は、やっぱりそいつは玉田じゃないな。あいつだったら君の顔を知ってるから、わざわざ確認するわけないし、顔を隠さないという事は、君とは初対面だと思ってるって事だ」
「確かにそうよね? じゃあ、あの人がアキラだったのかしら……」
「それはどうだろう。そいつは子どもっぽかったかい?」
「ううん、そんな事なかった。年相応か、むしろ少し上ぐらいの印象だった」
「なるほど。という事は、アキラではない別の人格って事になるな」
「剛史の“元カノ”をホテルに連れ込んだ人かしら?」
「おそらく……」