私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
「真由美……?」


私は困って真由美に助けを求めた。ところが真由美は、


「行ってあげたら?」


と簡単に言ってくれた。もう、他人事だと思って……

私は観念して主任に断り、岩崎さんと一緒にITセクションへ行く事にした。


「悪いな? どうしても今日中に溜まった領収書の清算をしたくてさ」


通路を並んで歩き出すと、岩崎さんはそう言って頭をポリポリと掻いた。そう言えば今日は経理の締め日だ。きっと未清算の領収書をいっぱい溜め込んでいるのだろう。


それにしてもこの人、スタイルはいいのね。背は180cmか、もう少しあるかしら。私の好みじゃないけど、きっとモテるだろうなあ……


『素敵……』

出た!

『そんな言い方しないでよ。お化けじゃないんだから……』

似たようなもんでしょ?

『ひど~い。それよりさ、岩崎さんってとっても素敵ね?』

どこがよ?

『かっこよくて、男らしくて……』

あんた、もしかして……

『うん、好きかも。きゃっ』

「嘘でしょ? 勘弁してよ……」

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