飲まないからこそ見える世界
「…ごめん、わけわかんないよな。」
そう言って朝生さんは私の頭をぽんぽんと撫でる
「あー、酔いさめてきた。やっぱり酒はダメだな。」
…やっぱり酔ってたんだ
「悪酔いしすぎですよ、朝生さん。」
へらっと力なく笑ってみたものの、やっぱり悲しくて、すぐに俯いた
「木岐さん、勘違いしないでほしい。
確かに酒飲んで酔ってたけど、俺は記憶が飛ぶような飲み方をするバカじゃない。
でも、どうにも酒を飲むと積極的って言うのかな。ちょっと自分を制御できなくなる。
だから、つまり…あー、言い訳っぽいのはだめだな。」
朝生さんは私の両頬を手で挟み上を向かせた
顔を上げると、まだ微かに頬が赤いが、いつもの朝生さんに戻っていて
「木岐さんが好きで暴走した。」
そう言い私の涙を指でぬぐった