電車であった彼女
えみさんから解放された僕は直ぐさま神宮さんがいる席に戻った。


僕が席につくと、


「えみちゃん。なんだって?」


神宮さんは少し不機嫌そうな口調で聞いてきた。


「?」


なんか不機嫌?


「ちょっとした世間話をね」


「世間話にしては長かっよね?」

神宮さん…どうしたんだろう?

「あの…どうかした?」


この僕の言葉が引き金だった。


神宮さんは泣きそうな顔をしながら席を立って、


「本山君のドンカン!」


そういってお店から出ていってしまった。



「神宮さん!?」


僕はそう叫びながら急いで席を立った。


その時、えみさんが僕に近づいてきて『早く追い掛けなさい』っていう目線を送った気がした。


その目線にコクンって頷くと僕はお店を後にした。



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