電車であった彼女
最初にあった数メートルの差は縮んで今は神宮さんに声をかけても聞こえるような距離にはなっていた。


「神宮さん!」


僕は大きな声で名前を呼ぶ。
だけど神宮さんは全然止まってくれる気配はなかった。


「神宮さん待ってよ!」


僕はまた名前を叫ぶ。


やはり神宮さんは止まってくれる気配がない。


なんで止まってくれないんだよ!


「レナ! さっきから待ってって言ってるだろうが!」


僕は無意識の内に神宮さんのことを名前で呼んでいた。


そしてついつい叫んでいた。


「僕は神宮玲奈が好きなんだよ!」


と。



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