南の空
プロローグ
-あの頃のあたしはまだ生まれたてのひよこみたいに目をちゃんと開けて前を見ることが出来ていなかった
「もう疲れちゃったよ」
サッと流れていく赤黒い血
「ごめんね…あたしはまだ餓鬼だから自分のことしか考えられないみたい…」
一枚の白黒のエコー写真を見ながら呟く
「ごめんね…こんな弱くてごめんね…もう寂しくないよ。もうすぐ、そっちに行くからね」
そのままあたしは目を閉じた