サイコーに不機嫌なお姫様。



案外いい奴だったな。


あの涙は恋愛がらみではないのか?



「ただいま」



コテージの扉を開けたらフワッと俺の頭にタオルをまかれる。



「ツッチーごめんね! 雨の中ご飯も食べないで」



それは片足をかばって玄関先で俺の帰りを待っていてくれた姫。



「大丈夫だよ。処置してもらった?」


「うん。管理人から救急箱かりて相馬にやってもらったよ」



あーマジで今回ばかりは焦ったな。なおが無事で何よりだ。



「お腹すいたー何か食べ物……」


「まずツッチーもシャワー! 早く着替えて! 風邪ひくから」



ああ……そうか。



なおの耳元でコソッと囁く。



「今晩の約束のために風邪なんかひいてられないもんね……?」



なおはジロッと俺を睨んで吹き出して笑いだした。



この時の俺はなんでなおが笑ったのかよく理解できてなかった。



いつもなら顔赤くなったり怒るのにな。



言われたとおりにシャワーを浴びて服を着替えてやっと昼ご飯にありつけた。



というよりももう夜ご飯に近い食事だったけど。





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