サイコーに不機嫌なお姫様。



「それを不意に翔汰に言われたから思い出しちゃったんだ……」



泣いているなおをギュッと抱き締めて髪をなでる。



「追いかけてきた犬がかわいそう? 罪悪感、感じてるの?」


「うん……最後の姿、見なきゃよかった。切なくて思い出したくない」



またしても俺の勝手な妄想と勘違い……



でもさ……



「その犬だって誰かに可愛がられてるかもしれないじゃん。それだけ人懐っこい犬ならきっとどこの家でも可愛がられてるよ」


「そ……うかな?」



本当になおって涙を流す時は相手を思う時だけなんだな。



そういうとこ大好きだよ……



「ありがとう。話して少し楽になった」


「うん」



体を離して涙を拭いてあげる。



額に瞼に頬にキスの嵐。



「なお……今日一人でイライラしてごめん」


「いいよ。私たちは喧嘩して仲直りでしょ?」



なおの言葉に思わず吹き出す。



そうだよな。俺たち、そうやってうまくやっていこう?





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