サイコーに不機嫌なお姫様。
「マジ!? どこのポジションやってるの?」
「ミッドフィルダーだよ。雅人くんは?」
「俺はフォワード! 国立競技場で試合もしたことあるの!?」
よし、こいつはサッカーバカだから大丈夫だ。うまくやっていける。
「改めてご挨拶を。母のとよこですー。どうかなおをよろしくお願いします」
正座をされて深々と頭を下げられる俺。
「こちらこそお願いします!」
「そんなことより乾杯しよう! 寿司はまだかよ?」
「おっそいよね! 雅人、走って取ってこい!!」
さ……騒がしい家族。おかげで俺の緊張もすっかり抜けてしまった。
陽気な父親。パワフルな母親。まともな姉。シスコンだけどサッカーバカの弟。
うん。うまくやれそう♪
お酒も入ってみんなで楽しく食事をしている時だった。
「なお、念のため酒は飲むなよ」
「うん。ツッチーは? ビールでいい?」
この何気ない会話が楽しかった雰囲気を一気にぶち壊す。