サイコーに不機嫌なお姫様。
ホール会場の入り口で早速その理由が分かった。
「今年のサッカー部の遠征の為の寄付をお願いします」
俺たちが現役のころも、OBの寄付で助けられたのは事実。少しだけど寄付した。
ホールに入ると嫌でも目が探してる。
元カノ、さゆり。会いたくねーけど、どんな女になってるか見てみたいって思うだけで浮気かな?
「土屋の元カノ発見」
「どこ!?」
相馬の目線の先にはピンクのカットソーに白いスカートからのびた細い足。後ろ姿でも分かるよ。
俺の……好きだった彼女。
なーんて見ていたら、さゆりが振り向いて思いっきり目が合う。
「やべ……」
さゆりは俺のほうへ歩いてきて笑顔で話かけてくる。
「直哉、久しぶり。元気だった?」
「うん。さゆりは……やせた?」
「分かる? 直哉は昔から少しの変化も見逃さない人だったよね」
うん。少し前髪を切っただけで分かっちゃう俺。
それがさゆりは嬉しいって喜んでたっけ?