サイコーに不機嫌なお姫様。
次の作戦にうつる俺。
「どこか出かけない? 海か夜景の綺麗なとこ!」
「雨が降ってる中、そんなとこ行きたくないし」
あの日はどしゃ降りだった。雰囲気のいい場所でファーストキスまで持っていこうという単純な考え。
見事に天気まで見放されていた。
「観覧車は!?」
「……ツッチー。あんたの考えてることなんて分かるんだから!」
あ、やっぱり?
「だってなおちゃんが心を開いてくれないからぁー」
なおは呆れた顔で俺を見る。ウザイって言葉が出てきそうな空気。
一一でも違った。
「ごめん。私……女の子らしくないし。そんな雰囲気にならないと思う」
少し俯いて、どこか悲しげな表情の彼女は明らかに照れていて……
「全然女の子らしいじゃん……」
思わず手を伸ばした。作戦云々より……純粋に目の前にいる彼女にキスをしたくなった。
「待って……本当に私、ダメなんだって!!」
思いっきり顔を背けられる。本当に恥ずかしがり。
「目……閉じて?」
「やだやだ! 無理!!」
本当に世話のやけるお姫様……
「なお……キスって愛情表現なわけ。好きだからしたいし、かわいいって思うからする……」