私の旦那様は特殊捜査官
まさか自分が誘拐されてたなんて、

結は知らない。

結は博人と私は友達だと思い込んでるから、

疑う事もない。


「どうぞ、そちらへおかけください」

そう言った声は澄んだ綺麗な声だった。

機械音なんかじゃなく、

生の声。


「…貴方が、博人さん、ですか?」

「…初めまして。…とは言いませんよ」


「・・・」

「僕と貴女は何度も顔を合わせている。

琴美さんの家の近くの本屋さんで、何度も」


そう言ってサングラスを外した博人の顔を見て、

私は目を見開いた。

…確かに、私はこの人と本屋さんで何度も

顔を合わせている。

だってこの人は本屋の店員。

君島博人。名札にはそう書かれていた。

私が本を探していると、いつも一緒に探してくれてた。

笑顔が優しそうで、

とてもいい印象の持ち主で・・・

まさかこんな事をする人なんて・・・
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