私の旦那様は特殊捜査官
それから約1時間。

やっと手続きを終え、私はそれを受け取った。

この中に登録されているのは、

博人の番号だけ。


「それじゃあ、帰りはどこかで食事をして帰りましょう」

博人の言葉に頷き、店の外に出た時だった。

私たちの目の前には、

深くキャップをかぶり、メガネをかけた男が立っていた。

博人は気づいているだろうか?

…私はそれが誰なのか、すぐにわかった。


ゆっくりと、すれ違う。

その男が私の横を通り過ぎようとした瞬間、

その男は私の腕を掴み、引っ張りよせた。

…来てくれた、そう思ったのに。


「僕が何も知らないとでも思いました?」

そう言って微笑んだ博人の手にはあの時と同じ、

カッターナイフが握られていた。


「そんなモノを振り回しても、お前はもう囲まれてるんだよ」

そう言ってメガネを外したのは、他の誰でもない、

秀だった。


…これで、帰れる。

俊敏に動いた博人は、私の腕を切った。

私はうずくまり、秀は私を支えようとしたが、

それは叶わなかった。
< 69 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop