私の旦那様は特殊捜査官
「・・・秀、これは?」

目の前に置かれた封筒を見て、署長は驚きを隠せない。


「見ての通りです。オレは琴美に辛い思いを何度となくさせてきました」

「だがそれは、琴美の承知の上だっただろう?

それでもお前を愛してるからこそ結婚もしたそれなのに・・・」



「署長、いえ、お義父さん・・・琴美が今日、目を覚ましました」

「そうか!それはよかった…で、子供は?」


「琴美も、お腹の子も元気です」

オレの言葉に、大きな溜息をついた署長。


「じゃあ、辞める必要がどこにある?傷も癒え、赤ちゃんも無事に大きくなれば、

数か月先には元気な産声を上げるだろう…それなのに、秀が仕事を辞めるなんて、

どうかしてるぞ?これからもっと頑張らねばならんのに」


「…琴美が」

「・・・」

オレの神妙な面持ちに、署長の顔色が少し変わった。


「琴美が、記憶をなくしてしまったんです。

覚えてるのは、高校生の頃まで…それ以後の事は、すべて忘れてしまった。

結を産んだことも・・・今なぜお腹に赤ちゃんがいるのかも・・・

そんな琴美を全力で支えていきたいんです。

特殊捜査官の副長官をしていたら、琴美を守ってやれない・・・

子供たちにも悲しい思いをさせないためにも・・・

オレは警察官を辞めます」

オレの言葉に、驚き、言葉を失った署長。

オレの決断は間違っているのか?
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