私の旦那様は特殊捜査官
「それは間違ってる」

署長は立ち上がり、窓の外を見た。


「・・・何が間違っていると言うんですか?

今の仕事状況じゃ、まともに琴美の傍にいてやることすらできないんです」

「…記憶は高校生まではあるんだろう?

なぜ辞めたのか、そんな理由を琴美に話せるか?

琴美はきっと自分を追い詰めるぞ、自分のせいだと・・・」


…確かに、それは一理あるかもしれない。

オレがこの仕事が好きなのは、琴美も知っている。

オレが止めたと言えば、琴美は悲しむだろう、自分を責めるだろう。

でも、それでも、琴美の傍にいたい。


警察官である前に、オレは琴美の夫だから。



「それでも、この気持ちは代えられません」

「…分かった、副長官は辞めてもらう」


「ありがとうございます」
「ただし!」

「・・・」


「警察官は辞めるな。部署異動を命じる。

今住んでる所から一番近い駐在所だ。署長命令だ」

「なぜですか。署長」


「琴美の為だよ…私も父親でね。あの子の悲しい顔は見たくない。

そして秀君にも、後悔してほしくないんだよ」
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