私の旦那様は特殊捜査官
「秀、そんなに結を苛めないで」

「・・・」

結を抱きしめてる琴美の姿が、今までと何ら変わりなく見えた。

すべてを忘れてしまってる琴美なのに、抱きしめる姿も、

結を愛してる気持ちも、何ら変わらない。

名前だって、今日は『ちゃん』を付けずに言っている。


「ママ、結のことわかるの?」

結が言った。…結も薄々気づいていたに違いない。

よそよそしかった琴美が、今日は自分をそれはそれは大事にしている。


「…ううん、ゴメンね。まだ思い出せないの」

そう言った琴美はとても悲しそうな笑顔を浮かべた。


「ううん、いいの!ママは謝らないで。

いいんだよ、今もママは結にとってママだもん。

ママは前も今も、結をたくさん可愛がってくれるから、それだけでいい」

「…結」

ニコッと微笑んだ結を、琴美がうんときつく抱きしめた。

そんな二人を、オレは包み込むように抱きしめた。



「オレは二人とも、大事な大事な宝物だ」

その言葉に、結も、琴美も、満面の笑みを見せた。

「…ぁ、動いた」

そろそろ5か月になるお腹。

少し膨らんできてて、いつ胎動を感じてもいいくらいになっていた。
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