羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
じっくりと見てみるが、やはり酒童には、どういうものが男性に喜ばれるのか想像がつかない。
「そだなー……」
いまいちど繰り返す。
「……これ、サプライズで渡すんだよな?」
酒童が、漆黒の手の模型を指差す。
「そうだけど」
「なら、なんでもいいんじゃねえかな。
そりゃあ、あんまり変なもの贈られたら困るかもしれねえけど、贈った側が懸命に選んでくれたもんなら、なんでもいいと思う」
「好き嫌いとか、あっても?」
「まあ、あんまりいい助言は出来ねえけど、もし贈られるのが自分だと仮定したら、貰えたものならなんでも嬉しい」
あくまで、俺の意見だけど。
酒童は自信なさげに言ったが、陽頼はそれでも、お菓子をもらった子供のように、唇を小さく吊り上げた。
「そうなんだ。
……じゃあ、ちょっと外見て待ってて。
私、選んで来るから」
「俺は見ちゃダメか?」
「その人がプレゼントもらってビックリした顔、撮って嶺子くんにも見せてあげたいの」
悪戯っぽく微笑むので、酒童はプレゼントを受け取る彼の顔を頭に浮かべながら、向かいにある服屋に視線をやった。