羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
あれは。
酒童は絶句した。
あの丸いものが、どんなものなのか。
それはこの日本国民、皆が存じていた。
マスコミや生物学の本にも、CGを使ったドキュメンタリー番組にも取り上げられ、事細かに、その特徴は記されている。
卵の柄は純白。
ガラスのような手触りで、真珠のような光沢を放つ。
直径は平均で見て、人の身長ほど。
これは紛れもない《西洋妖怪の卵》。
誰もが、知っていることだ。
だから大衆は逃げてきた。
この、今にも生まれそうな西洋妖怪の卵から。
ばりぼりと音を立て、その突起の正体が姿を表した。