羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
そして陽頼は腰を浮かばせて屹立すると、くるりと酒童に背を向けた。
そして、
「まだ寝てる?起きる?」
と、先ほどこのとを水に流して訊いてきた。
「起きる。
昨日は食わずで帰ってきたからな」
なにしろ、昨日は食欲が湧かなかった。
なので、育ち盛りの茨に食べてもらったのだ。
しかしやはり、一食を抜いてしまうと、翌朝には腹も減る。
酒童はうなづいて、重い身体を動かした。
寝室兼和室をでると、台所に面した洋室に出る。
洋室に置かれた小ぶりなテレビは、当然ながら、まだ真っ黒だ。
チャンネルのボタンを押し、電源をつけると、昨夜駆除された西洋妖怪の残骸が映る。
もちろん、普段からこんな映像が報道されているわけではない。
今日は特集か何かだろう。
以前もこういったものがあった。
しかし、羅刹の駆除現場を映像にとらえようと夜に出てきたせいで、カメラマンかアナウンサーが喰われかけた事件が起きたため、夜に報道することは禁止となった。