羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》



言い募り、朱尾は再び鉄砲を構えた。


「俺が死んで先輩が助かるなら、本望だ」


ぽつりとそう零した朱尾の横顔に、榊は息を飲んだ。

前々から酒童にばかりとっついて、媚を売っているだけかとばかり思っていたが、その眼光は、明らかにそうではないことを自白していた。

酒童に、本気で心酔しているのだ。


「ああ、わかったよ。
せいぜい晩飯にならねえようにな」

「はっ……」


朱尾は榊を鼻で笑い飛ばす。





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