羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》




「は……?」


 酒童は細い瞳をさらに細めて、瞠目した。

 鬼の血を、ついでいる?


「そ、れは……遺伝子的な意味での“継ぐ”なんですか?」

「普通、羅刹の力は、血を流し込まれた者だけに現れます。
DNAや遺伝子として、その力が子供に渡ることはまずありません。

学説上、羅刹の薬品投与は、最低でも7歳を超えた年しなくてはならないとされています。

だが、あなたは生まれて間もない頃から、羅刹の力を有していました」



 つまり。

 鬼門の言葉は、突き刺さるようだった。




「酒童嶺子。
あなたは“鬼のDNA”を持って生まれた。

この日本列島でただ1人の“鬼が人に孕ませた子供”なのです」






< 211 / 405 >

この作品をシェア

pagetop