羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》



 世の中じゃ、「日本の妖は無害な生き物」という説を立てる阿呆もいますが、実際は違う。

 2000年も昔に遡れば、妖だって、凶暴なものはいくらでもいた。

ただ、そういったものの多くは、人間に駆逐されて絶滅した。

 呪法班は、もちろんご存じですね?

 彼らの起源は、遥か昔の“陰陽師”や“方術師”ということも、訓練生の時に教わったはず。

凶暴の枠に入る妖の大半は、そういった人間の存在によって居場所をなくし、姿を消して行きました。

 彼らが編み出した“退魔”の力がによって、ね。

 彼ら陰陽師らは妖の討伐が本職ではありませんでしたが、一部の異端……特異な体質や才覚によって、そういった退魔の役も担うようになったのだとか。

まあ後は、藤原秀郷(ふじわらのひでさと)だとか、源頼光(みなもとのよりみつ)だとか、武士の異端児もありますね。

 とにかく、そういったものたちによって、強力な妖は絶滅して行った。

いまや天狗さえも、日本のレッドデータブックに載っているほどですからね。


 そして今日、この日本列島に残る最後の「日本三大妖怪」の中では、もう“鬼”しか残っていない。



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