羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》




(俺は、生きてちゃいけない存在なのか?)


 昔に起こった、鬼の討伐と同じように。

人間に危害を加える恐れがある生き物として、世から消されるべき存在なのだろうか?



 そんな考えさえ浮かんでくるが、酒童は首から下げられた玉鋼の柊を凝視する。

銀の玉鋼が鏡となり、酒童を映す。


 黄色の肌、黒い瞳、実年齢より若い日本人顔。


 これらは、自分が半妖であり、半人間であることの証。




“あなたは半分だけ鬼の血を引いていますが……。
半人間であるからには、人間として当然の義務も守ってもらいます”



 鬼門の言葉は冷淡だった。


冷淡だったが、羅刹の幹部たちは、酒童が半人半妖の酒童を人間として扱う心づもりでいる、と遠回しに言われると、ほんの少しだけでも自分を肯定できる。




 酒童は湯船から立ち上がった。











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