羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
(鬼と一緒なんて、嫌だろうしな)
酒童は自嘲する。
人喰いと恐れられる虎を飼うようなものだ。
一緒にいる側は、いつ死んでもおかしくはない。
この呪物でも抑え切るのは困難だというし、無意識のうちに体を支配して来るような本能には、酒童も正直なところ打ち勝てる気がしない。
(まだ恋人同士だったのは、幸いだな)
酒童はタオルを手にして、台所へと戻って行った。