羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》



「ん?」


 陽頼は首を捻るだけだった。

 そんな幼い声色が耳に滑り込んできて、酒童は口を動かすのを一瞬だけ躊躇う。

 躊躇うが、酒童はぎりりと拳を握りしめ、緑に変わりつつあった瞳を閉じた。






「別れないか?俺ら」








 渾身の力で首をもたげて、言い募る。

 しかしそれを言い終えてしまうと、酒童は力尽きたようにうつむいた。





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