羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》


 おそらく、戦闘中に枝に引っかかったりしないように、着物特有の広袖や袴のひだを省いたのだろう。


それでも、このような和風のデザインになっているのは、西洋からやってきた化け物への『日本人』としての誇張だろう。



 酒童はそして、腰のベルトに村雨丸を差し込んだ。


(ちっ、いつも通りだったらなあ)


 酒童は舌打ちする。


 そう。

 いつも通りの日課であれば、これよりも1時間30分おそくに出る。

陽頼もその時間には帰ってくるし、書き置きを残す必要も、メールをする必要もない。


 いまいちど大きくため息を漏らすと、酒童はスニーカーを履くのだった。
















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